
教育学部を卒業後、IT・Webコンサルティング会社に新卒入社。Webサイトの品質管理やプロジェクト進行を担当し、ユーザークライアントの視点に立ったコミュニケーションを通じて課題解決に取り組む。その後、日本の工芸を軸とした事業を展開する企業へ転職。小売店への卸販売や、工芸メーカーが集まる展示会の企画・運営を担当し、日本の工芸を元気にする!というビジョンを実現に関わる。2023年7月よりHERALBONYに参画。障害のある作家の表現を活かした商品企画や、プロジェクトの進行管理を中心に担当している。
ヘラルボニーのリテール事業部、商品企画チームの福井隆史。2023年7月に入社し、商品企画からコラボレーション、店舗企画まで幅広く担当する。
彼がヘラルボニーで目指すのは、アーティストや作り手を繋ぎ、社会に新たな「美しさ」と「問い」を生み出すこと。その根底には、ヘラルボニーの挑戦に「平和」への道筋を見出した、静かながらも確かな“意志”があった。彼を突き動かす原動力を聞いた。
“直感”がもたらした切符
まず、福井さんがヘラルボニーで担っている役割について教えていただけますか。
2023年の7月に入社して、今はリテール事業部の商品企画チームにいます。主な業務としては、商品の企画はもちろん、企業とのコラボレーション企画の進行管理、POPUPストアの営業企画窓口、商品を起点にした展示企画の進行、部署を横断するような販促企画の立案・実行、それから「責任あるものづくり」に関する運用レポート作成など。
改めて振り返ると、本当に多岐にわたる業務を担当させてもらっていますね(笑)。リテール事業に関わることなら、広く携わっているという感じです。
ヘラルボニーへの入社を決めたきっかけは、代表の講演だったそうですね。
そうなんです。ヘラルボニーの両代表が登壇するイベントに参加する機会があって。プライベートな話題ですが、ちょうどその頃にパートナーとの同居の話が具体的になってきて、東京での新しい生活を考えていたタイミングでもあり、漠然と転職を考えていた時期でもありました。講演を聞いて直感で「ここだ!」って、そう思ったんです。今、改めて言葉にしようとすると難しいんですが…本当に“直感”としか言いようがない感覚でした。
社会には、普段なかなか光が当たらないけれど、とても大切な事柄がたくさんありますよね。ヘラルボニーは、そういったことに真正面から向き合っている。でも、深刻になりすぎず、どこか軽やかに、そして何より楽しそうに、社会を変えていこうとしている。
その姿に、すごく心を動かされたんです。「自分もこの変化の輪の中に加わりたい」。イベントが終わった後、じわじわとその思いが込み上げてきました。

想像力とユーモアが平和につながる
心を動かされた点は多くあったと思います。そのなかでもヘラルボニーを選んだ「最大の決め手」は何だったのでしょう。
端的に言えば、「ヘラルボニーの事業や生み出す作品が、平和につながるんじゃないか」と感じたことです。少し大袈裟な表現になるかもしれませんが、あえて言語化するならば、それが一番大きな入社の理由ですね。
これは個人的な思いなのですが、僕は争いを好まず、平和であってほしいと心から願っていて。でも、昨今、少しずつ世の中の空気が硬くなっているようにも感じるんです。こういう状況を、少しでも和らげる要素って何だろう? そう考えたとき、僕のなかで浮かんだのが「想像力」と「ユーモア」でした。
「想像力」と「ユーモア」ですか。
はい。ヘラルボニーが取り組んでいることは、まさにそこにつながります。知的障害のあるアーティストの方々が生み出す、常識にとらわれない自由なアート。それらは、私たちが普段あまり意識することのない、他者への想像力を豊かに広げてくれる力を持っていると感じます。同時に、彼らのアートに触れると、理屈抜きに「面白い!」とか「美しい!」と、心が動かされる瞬間がある。
ヘラルボニーが掲げる「異彩を、放て。」というミッション。これは、一人ひとりの違いを欠点ではなく、かけがえのない個性や才能として認め、それを社会のなかで輝かせようという“意志”の表明です。この考え方が社会にもっと広がっていけば、多様な価値観が自然に受け入れられて、不要な対立やすれ違いも減っていくんじゃないか、と。
そしてそれはきっと、僕が願う「平和」な状態につながっていくはず。結果として、僕自身ももっと穏やかに生きていける世界になるかもしれない…。そう自分のなかで繋がった感覚が、ヘラルボニーへの入社を強く後押ししてくれました。
まだ見ぬ“問い”を生み出すために
ヘラルボニーの一員として、これからどのような目標を果たしていきたいですか。
ヘラルボニーという、ユニークな可能性を持ったプラットフォームがあるからこそできることを、カタチにしていきたいですね。
具体的には、異彩を放つ作家さんや、彼らを支える福祉施設の方々。そして、様々な分野で活躍されているクリエイターの方や、ものづくりに情熱を注ぐ人々。そうした多様な才能と才能を、丁寧につなげていく役割を担いたいと考えています。
そして、その出会いや、共に何かを生み出すセッションのなかから生まれる化学反応… それによって、これまで社会には存在しなかったような、新しい「美しいもの」を世の中に送り出したい。ハッとさせられたり、深く考えさせられたりするような、人々の心に響く「問い」を生み出していきたいんです。
その一助になることが、僕がヘラルボニーにいる存在意義とも捉えています。
福井さん自身がへラルボニーを通して、社会にどのような変化をもたらしていきたいと考えていますか。最後に教えてください。
「余計な緊張感のない、もっと寛容な状態」が広がっていけばいいな、と。ヘラルボニーは、「障害」という言葉が時に生んでしまう固定観念や、社会の無意識の壁に対して、アートの力で揺さぶりをかけています。そして、一人ひとりが持つ「異彩」に光を当て、誰もが自分らしく、その人自身の輝きを放ちながら生きていける社会を目指している。僕の仕事が、微力でも、より良い社会の実現に少しでも貢献できるのであれば嬉しいですね。
ヘラルボニーは、既存の価値観にとらわれず、常に新しい「問い」を社会に投げかけ続けられる、稀有な会社だと思っていて。僕もその一員として、これからも人々の想像力を刺激し、心を豊かにするような仕掛けや企画を生み出し続ける。
それを通じて、社会をポジティブに変えていく一助となりたい。そう強く願っています。

教育学部を卒業後、IT・Webコンサルティング会社に新卒入社。Webサイトの品質管理やプロジェクト進行を担当し、ユーザークライアントの視点に立ったコミュニケーションを通じて課題解決に取り組む。その後、日本の工芸を軸とした事業を展開する企業へ転職。小売店への卸販売や、工芸メーカーが集まる展示会の企画・運営を担当し、日本の工芸を元気にする!というビジョンを実現に関わる。2023年7月よりHERALBONYに参画。障害のある作家の表現を活かした商品企画や、プロジェクトの進行管理を中心に担当している。